【レースレポート】HURT100 2019〜エントリーから事前準備、レース当日まで〜

 
HURT100に出場できるのが決まったのが8月19日。
ロッテリーのLiveを見ながら自分の写真が出た時は、声をあげて喜んだ。自身初めての100マイルチャレンジは2019年1月19日HURT100に決まった。
 

HURT100エントリー、当選確率を上げる方法

HURT100は毎年1月の3週目にハワイで行われる100マイルレースだ。コースは1周20マイルのコースを5ループする。サーフェスは99%がトレイルでほぼ登りと下りしかない。累積は7,500mと数字だけではそこまで厳しいものではないが、暑さやループコースであること、根っ子やぬかるみなどにより走りづらいトレイルなどがあり、アメリカではハードロックに次いで2番目に厳しい100マイルレースと言われている。
 
出走者は全部で130名ほどで前年の入賞者を除いて全て抽選で決まる。エントリーにあたって資格はないので、誰でもUltra Signupからエントリーをすることができる。ただ、この抽選が少し変わっていて、全員が同じ倍率で選ばれるわけではない。
 
ククイナッツポイントを持っていると当選倍率が上がるのだ。
このククイナッツポイントはなんぞや?という話なのだが、正確にはわからない(笑)
 
どうやら、初めてHURTにエントリーする、初めての100マイルを走る、レースの運営に関わるなど、RD(RaceDirector)が気に入ればククイナッツポイントが付与されるらしい。このククイナッツポイントを獲得するために、RDに動画を送ったりお歳暮を送ったりする人もいるほどだとか。
 
今回自分は、HURT初エントリーで初めての100マイルという点で、多少のククイナッツポイントを獲得していたのだろう。それに加えて、RDになぜHURTを走りたいのか、なぜ初めての100マイルがHURTじゃなければならないのか、HURTを走るために準備していることなどをRDのJohnにメールで送り、instagramで#hurt100hopefulというハッシュタグをつけて投稿するというキャンペーンにも参加した。
 

 

 
 
 
 
 
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Happy 1st anniversary!! #hurt100hopeful #1st100miles #1stanniversary

Ryo Murataさん(@ryomurata28)がシェアした投稿 –

RDに送ったメールには妻のことも書いていたので夫婦で行きたいということを伝えるためにこの写真をチョイスw
 
この2つがどれだけククイナッツポイントを獲得したかはわからないが、少なからず当選倍率を上げてくれたのだろう。
 
その結果、高倍率をくぐり抜け初エントリーにて出走権を得ることができた。
 

HURTへの準備・トレーニング

出走が決まったのは8月だったが、9月には2018年のメインレースの信越五岳があったのでそこまでは信越に向けたトレーニングに集中。その後信越が終わって1週間はゆったり過ごし、HURTに向けての準備をし始めたのが10月から。
 
本番の1月まで練習できるのは約3か月。大きく3つのフェーズに分けて練習してきた。ざっくりこんな感じ。
 
10月:基礎走力UP
 
11月:スピード持久力のUP、長時間運動への適応
 
12月:長時間運動&登りの強化
 
10月、11月に関してはHURTへの準備というよりも信越で出た反省を踏まえて、練習を決めた。4月に高尾に引っ越してトレイルに入る機会が増えた分、今まで行っていたようなロードやトラックでのペース走やインターバル練を行う回数が減っており、結果的に純粋な走力の衰えを感じた。そのため、まずはHURTを含め、次のシーズンのために、平日は400mインターバルや坂ダッシュで早い動きに慣れながら心拍も追い込んだ。週末は毎週ペーサーやレースが入っており、練習はほとんどできていなかった。
 
11月に入ってからは少しメニューを変え1000mインターバルや4~7kmくらいの峠走、閾値走など20~30分で出し切るようなメニューを中心に行った。週末はレースがない限り、実際に100マイルを走るときと同じように上限心拍を設定し、その心拍の範囲内で7~8時間走り続けるロングトレイルを毎週実施。
 
12月は11月と大きくは変わらないが登りの割合を増やして実施。特に週末は天狗と呼ばれる1ループ16kmで累積が1,500m取れるコースに毎週行き、長時間運動、登り強化。またループの耐性も高めていった。
 

12月の最終週には天狗24耐に出走させてもらい、ペース配分や補給などの最終チェック。HURT出走者もたくさん。
 
また、12月からは暑さ対策のためのサウナ練やトレッドミルでの練習も増やした。
 
 

装備&補給食

ウェアは普段使っているものを。ザックはウエストタイプのNAKED RUNNING BANDを採用。NAKEDはサイズが調整できないので、Run Boys! Run Girls!にて実際に物を入れてフィッティングしてサイズを決定。主な持ち物としては500mのフラスコを2つと1レグ分の補給食だけなのでザックよりもウエスト型がベストと判断。レースで使うのは初めてだが、事前に本番と同様の荷物を入れて複数回テスト済み。
 
靴下は安心のDRYMAX。トレイルはかなりぬかるんでいたが結果的にマメなどのトラブルは一切なし。シューズは最近距離を問わず愛用しているHOKAのTORRENT。厚底は好きではないのだけど、これはHOKAなのに厚底感がなく、軽量でグリップ十分。
 
 
・タンクトップ:Answer4
・パンツ:Answer4
・キャップ:HUNGERKNOCK
・ザック:NAKED RUNNING BAND
・靴下:DRYMAX
・シューズ:HOKA TOREENT
 
補給食は基本はジェルとエネもち。あとはエイドでおにぎりなどの固形物。サプリはBCAAMAGMA。ドリンクは水と経口補水液。脱水予防のために経口補水液を採用したが、これはかなり良かった。
 
 
HURTでは3つエイドがあり、各エイドにドロップバックが置けて、1ループ目からいつでも利用してOK。そのため事前に各エイドでループごとに必要なものをジップロックに入れておいた。嫁がサポートに入ってくれるので事前にドリンクを作っておいてもらい、この中身を渡してもらうことに。
 
 
 

HURT100 レース当日

前日は思ったように寝れなかった。2日前にハワイ入りし、日本を発つ時から現地時間に合わせて寝れたし、前々日の睡眠もバッチリだったし、レース前はかなりリラックスできていた。これは緊張なのか、夜も賑やかなハワイの街の影響なのか。。
 
 
3時に起きて、近くのおにぎり専門店で調達しておいたおにぎりで腹ごしらえして、5時に会場入り。ドロップバックを預け、写真撮影などを終え、慌ただしくスタート地点へ。
 
 
まだ真っ暗なのでヘッドライトを着けてのスタート。気温はそこまで暑さは感じず、タンクトップで涼しいくらい。
 

試走感覚の1ループ目

 
4列目あたりに位置取り、渋滞はなくスタート。スタートしてからは天狗24耐でも一緒に走ったナミネムさんの後ろを走らせてもらう。ペースは心拍を見ながらAT値(TREATにて計測)を超えないように余裕を持って進む。登りの斜度はそこまで厳しくないが、根っこや岩など細かな段差が多く、走りづらい。こういうリズムよく走れない箇所は、割り切って歩く。下りに入ると後ろからトモさんが来て、そのまま3人でしばらくパックになって走る。ペースがわからなかったがいいペースとわかり一安心。
 
ヌアヌとパラダイスパークへの分岐のところではトモさんと2人に。ペースやコースどり、上位陣の面子に後半の展望などを話ながらリラックスして進んでると初めてのエイド、パラダイスパークに。エイドでのスタッフの手際の良さに驚いた。着くと同時に自分の番号が書かれたドロップバックを持ってきてくれて、ボトルを渡せば補給してくれる。ここではヘッデンを預け、水の補給だけしてすぐにエイドを出る。
 
このあたりで20位くらい。トモさんからは前のうち半分は落ちるからこのまま進めばふたりともトップ10はイケると。ただ、今回は出場者のレベルがかなり高く、自分は初100マイルだったので順位は気にせず、無理のないペースで行こうと思っていたし、それを心がけて心拍を見ながら走った。
 
 

めちゃめちゃ楽しい。すぐ後ろにはトモさん。

 
1ループ目はその後もほぼトモさんと一緒に走る展開。1ループ目の設定タイムが4:15に対して4:20。遅れたという感覚はなく、かなり余裕を持って1ループを終えることができた。
 

夢のような時間を過ごした2ループ目

 
ネイチャーセンターのエイドもすぐに出て、2ループ目へ。陽が出てきて多少暑くなってきたが、思っていたほどでもない。これがサウナ練の効果なのか。2ループ目も終始トモさんと前後で走る。トモさんが走るルートは、1ループ目と同じコースなのか?と思うほどに根っこの段差が少なくかなり楽に登れる。
 
初めての100マイルレースでトモさんと一緒に走れたこの2ループ目は、夢のような時間だった。パラダイスパークのエイドでは丹羽さんとも会えて元気をチャージ。
 

このエイドも1分ほどですぐに出る。嫁のサポートももう慣れたもの。

 
終始リラックスして走れて、2ループ終わった段階でもまだまだ元気。タイムも1ループ目との差が20分と順調。
 

まだまだ楽しい3ループ目

 
3ループ目に入る前に、NAKEDからザックに変更。走っている中で少し痩せたのだろうか、多少の揺れとお腹の張りを感じるようになったため、ここで変更することにした。臨機応変に対応できており、我ながら冷静でいい判断だったと思う。
 

たくさんの日本人サポーターに見送られ出発。

 
3ループ目は一人の時間が増えたが、コース取りにも慣れたし、そこまで辛さはない。ただ、途中に降った雨の影響か、かなりトレイルがぐちゃぐちゃになってきて足をとられる。それでもまだまだ脚もメンタルも元気な状態で3ループ目を終える。順位をほとんど気にしていなかったがこの時点で10位。
 
このループも2ループ目からプラス20分。この段階でプランAを上回る。4、5ループ目を5時間30分で行ければ、24時間台でのゴールが見えてくる。正直、5時間30分というタイムは3ループを終えたた状態でもイケると思っていた。
 
それくらいまだ余裕があった。走っていて本当に楽しかった。こんなにレースを楽しめているのは初めてだった。サポートの人たちが元気だね!と声をかけてくれたが、自分でも声や表情に余裕があるのがわかった。
 

ペーサーが合流し勝負の4ループ目へ。

 
4ループ目からはペーサーがつけられる。ペーサーはよく日本でも一緒に走っているたかまる。気心知れた仲で彼と一緒に走るのを楽しみにしていた。1レグはかなり好調に進み、これまでのレースのことをワイワイ話しながら進む。タイムも悪くない。
 
レース前半は1レグが3つの中では嫌な印象だったのだが、後半は2レグのパラダイスからの登り返しが泥沼化していて結構応える。このループから投入したポールを駆使して、一歩一歩進んでいく。下りや平坦はまだ脚も残っており、そこまでペースを落とさずに走りきれた。
 
 
過去のリザルトを見ていると、夜になるこの4ループ目が一気にタイムが落ちている選手が多かったがペーサーのおかげもあり、またもや前のループから20分プラスで終えられた。このままいけば24時間台でのゴールだ。順位も1つ上げて9位で最終ループへ。これ以上ない出来すぎのレース展開だ。
 

ウイニングランのはずがまさかの、、

 
少し足首に痛みがありさすがにキツくはなってきたが前後の選手はそれ以上にキツそうだったので、もう少し順位を上げてのゴールを目指す。
 
少しペーサーに付いていけない場面も出てきたがしっかり動けているし、ちゃんと補給も出来ている。下りや平坦のセクションはまだ走れる。
 
しかし、パラダイスのエイドを出て、登り返すところで膝の内側に激痛が。膝を全く曲げられない。登ろうと足を上げると悲鳴が出てしまう。なんの予兆もなく突如の痛みに少し落胆したが、残り10マイル、ここまで来て辞めるという選択肢はなかった。まだ制限時間までは12時間以上ある。どんなに遅くても止まらなければ必ずゴール出来る。そう思う心とは裏腹に、膝は全く上がらない。ぬかるんだトレイル、根っ子だらけの第2レグが膝を曲げられない自分を苦しめる。
 
膝を伸ばしポールで身体を支えながら進むものの、痛みが出てからの2時間で進めたのはたったの2kmだった。もちろん後続の選手にもどんどん抜かれていく。。
 
そんな時に、ナミネムさんとペーサーの二郎さんとすれ違う。状況を伝えると、「それは多分鵞足炎だから、内転筋をほぐすといい。」そう教えてもらった。その場でマッサージとストレッチを施すと、少しばかり痛みが軽減した。それでも膝はほとんど曲がらない。その後もマッサージをはさみながらなんとか進む。
 

最後のレグの一番きついところにあるこれを見たときは少しウルっときた。

 
陽も出て、イケると思った24時間台でのゴールタイムも過ぎた。もうタイムや順位は気にもならない。なんとかしてゴールにたどり着くことだけを目指し、足を進める。
 
途中ペーサーからの声かけに返事を出来ない場面もあったが、たかまるが最後まで声をかけてくれ、なんとか心は折れずにゴールまでたどり着くことができた。
 
出し切った!という感じは正直なく、達成感というよりも、死に物狂いでたどり着けたという安堵感だった。
 
 
 
3ループ目まではほぼ完璧な走りが出来た。悔やまれるのが4ループ目。4ループ目を勝負どころ、5ループ目はウイニングランという意識だったのが反省。4ループ目は勝負への助走で5ループ目こそ本当の勝負どころだった。4ループ終えてちょっと気持ちが緩んだり、走りが雑になってしまったのだろう。痛みの原因となったのは恐らく下りで転ばないようにガニ股気味になってかなり、内転筋を酷使してしまったのだろう。テクニカルな下りは自分の苦手なところなので、これを機にちゃんと改善に取り組もうと思う。
 
 

ゴール後の右足首はパンパンに。膝の痛みは1週間経った今も少し残っている。

 
結果は思い描いたものではなかったものの、4ループ目までは理想以上の走りができたし、初の100マイルチャレンジにしてこのハードコースをクリアし100マイラーになれたことは本当に嬉しいし、自信になった。
 
初めての100マイルがこのHURT100で、この出走者、サポートメンバー、サポーターで本当に幸せだった。おかげで100マイルレースの楽しさと奥深さの虜になった。今後は100マイルを主戦場にしていこうと改めて決意した。
 
HURT100は本当に素敵なレースだ。
 
またいつか、次はもっともっと強くなって戻ってきてSub24、入賞を果たしたい。